ここ最近、上海蟹の味わう時期が温暖化の影響からか、今まで以上に半月ほどずれ込んでいる感がある。なじみのレストランにて、上海蟹についてスタッフと話題を共有することも多いが、わけても、現地渡航経験から料理の話になるのはいつも楽しく、興が乗れば、中華料理の食通が頼む手段としての「口子」を大いに活用してみたくなる。
そこで、料理長との話から、食材はまだ厨房にあるとの確認をとった後、「蟹黄拌麺」を作ってもらうことにした。上海では、庶民的な麺専門店でも、「蟹黄麺」として出すところもあるが、そこはそれ、値段相応のためか、蟹黄が少し乗っかっている程度のものが多い。
しかしながら、やはり現地渡航、いやそれ以上のものをということで、一食入魂、仕上がった一皿を見て、まさに驚天動地の心ばえとなった。
蟹黄がこれでもかと言わんばかりのボリュームで、鮮やかかつ濃密な菊花の色、そして、蟹黄の粒がごろごろと見て取れる。
早速、賞味してみると、これはまさに大閘蟹料理の王道に加えても些かの遜色もない一品だ。食が進めば進むほど、汗も噴き出てくる。身体の陰陽もかなり活性化してくる。
3ヶ月前に上海に滞在したときには、これから蟹の季節が始まるときであったが、九臍十尖と俗称されるが如く、蟹の味わう時期は以前はその通りでも最近は師走に入ってからの方が充実した味わいになるのではないだろうか。冬に出かけたときの上海でも、知人の家で清蒸していただいたが、上海人にもこうした蟹の味わいの変化について一度訊いてみたいところである。
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